#13.. プール |
| Update : 2005/07/02 15:21:00 |
六時前、今日は一段と冷え込み、真冬のような気候であった。
私は長老とトムと一緒に電車に乗り込んだ。
少し他愛の無い話をした後、私は二人に志望校一覧表を提示した。プリムラとかスーペリア等、意味不明なコース名を見て一笑した後、プール学院に話題が転じた。
「プール学院ってな・・・」とへたれが話し出した。
「プールが無いんだろ、マジな話」私は先手必勝で割り込んだ。
「そうなん? いや、そうじゃなくて。大阪来てプール学院を見ると、みんなカルチャーショック受けるらしい。“何なん? プール学院って”というふうに」
「ずっとプールで授業とか思うんちゃうん」長老も話題に加わった。
「嫌やな、そんな学校あったら」
「冬場は体育に限らず、数学とかで死者が出んねん」
「寒中水泳? 掃除のおばさんがバケツで塩まいて、凍らないようにしているとか。凝固点効果で−5℃でも凍らないプール」と言いつつ、私はそんなの嫌だなと思った。
「サイコロでその日の水温を決めるとか。“今日はベーリングで”みたいに」長老もなかなかえぐい事を言う。
「普通に死ぬやん。でも、それくらい気合入った学校いいなぁ」
「25メートルプールいうのは、深さ25というのはどうだい? 体育の授業では、まず水面からスタートして水面が徐々に上昇。やがては天井に到達するのでさっさと25メートル潜って、一番下にしかない出口を目指す」私もアイデアを提出した。
「下からどうやって出るん?」長老の質問。
「エレベータ位のカプセル状の箱にいったん入ってドアを閉め、カプセルの中の水を抜きつつ空気入れて、入った逆の方の扉をあける」
「なるほど。そんで途中には何メートルかごとに、壁に空気が入ったペットボトルやビニル袋がぶら下がっていて、それを吸いながら最下層を目指す。みんな必死で酸素奪い合ったり空のビニル袋が顔に引っかかったり、トラップで電気流れたり」
「むっちゃサヴァイバリーやな。命懸けやん。うちの大学にもコラーニングUとかいう意味不明な建物建てんと、25立方のプール作ればいいのに。“このビル何ですか? プールです”ってね」とトム。
「水族館みたいに外から見えるなんていうのはどうだい?」
「“あ、あいつ沈んでる”って?」
「まあ、どうあがいても死者が出るということで」
「当然、プール全て出席しないと卒業出来ない」
こうして、あっという間に京都に着いてしまうのだった。
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