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えむえむ・ザ・ワールド
#05.. ハロー警報
 | Update : 2005/07/02 15:21:00 |
電話が鳴ったので、でてみたら若い女の人の声で私の名前を確認してきた。いかにもその通りだと応えると

「片瀬です。この前はおごってくれてありがとう」と言ってきた。

外からかけているのだろう。騒音が激しい。

「というか、あんた誰?」と聞き返すと

「覚えてないんですか?」と逆に聞き返された。

「奢ってなどいないのだから、覚えている筈が無いでしょう」一体あちらの目的は何なのだろうか? 

「じゃあ、突然こんな電話かかってきても驚きますよねぇ」

「いいえ。何度も同じのがかかってきているので、もう慣れました」

反強制予防接種の回数は、もう片手の指では数え切れない。

「キャバクラのおねぇさんとかですか?」

(全部あんただろうが!)と言おうとしたが、電話は突然切られた。



まったく、ばれていないと思っているのか、毎回毎回違う名前でかけてきて、そのくせ会話の内容は同じで、いつも突然電話を切る。

土日になるとかかってくるみたいだ。

(セールスではないみたいだけど、宗教の勧誘だろうか?)

(新種のイタ電か、意味無しジョークなのだろうか?)

世の中、暇人もいたものだ。

(アルツハイマーなのかもしれない)

(可哀相に)

(いやいや、あの人はただ、致命的なアルツハイマーなだけであって、人格全てを決め付けてはいけない。無論、差別してはいけない)と公立小学校で厳しく教えられてきた。

けれども、善良市民だろうとアルツハイマーだろうと伝説の勇者だろうと、邪魔する奴は敵だ、というのが私の基本防衛アルゴリズムである。

(ところで、キャバクラって何だろう?)まあ、それはまた今度考えよう。



とにかく、土日は電話に出ないようにしよう。またかかってくるとうっとうしいから。

そしてこの事を、私はハロー警報と命名した。
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